Pine Valley
標高 7,000-7,400フィート付近
Emigrant Wilderness

2002年10月19日

月に輝く岩とそこに映る自分の影を見ようとEmigrant Wildernessに出かけた。 10月も中旬となるとクリークの水も枯れ切ってしまい、水の便の良いキャンプ地は 湖畔ぐらいしかない。しかもそこがトレイルヘッドから数時間の近場となると、 さすがにオフシーズンとはいえ、他のバックパッカーと遭遇するのは 避けられない。そうならないために一泊に必要な水を担いで、人のいない天場を探すことにした。 行き先はPine Valley。トレイルヘッドのCrab TreeはPinecrestのすぐ近く。 ダートロードを3マイルほど走ったところにある。



トレイルヘッドから40分ほど林の中の道を登っていくと尾根に出て 今日の行き先のPine Valleyを見渡すことができた。持っている水は1.5リッターペットボトル 3本、ギネスビール3本、そしてバーボンを少々。ギネスは冷やさなくても それなりに飲めるだろうと。ここからPine Valleyへ下る道は 人と鹿の足跡が入り混じり、あまり人気のないトレイルであることがわかる。
Pine Valleyの谷あいの道を行くと突然北側に石庭風の景観が広がる。思わず今日はここに泊まろうか と考えてしまう。が。まだ1時間強しか歩いていなかったので、更に進むことにした。
やがてGrouse Lakeという、浮き草だらけのあまりぱっとしない湖に着いた。 ここでメイントレイルをはずれ南側の急な斜面を登っていく。 最初はこんな急なところをいけるのかと思ったが、よく見るとジグザグ状に 岩だなが続いており、ところどころにケルンらしき岩も積んである。 荷物が重いので注意しながらゆっくり登っていく。
300フィートも登るとPine Valleyの全貌が見えてくる。
やがて岩場は次第に緩やかになり、ところどころに 木が出てくるようになった。空は東北西と三方に開け 南側は小高い岩に守られており、月夜を楽しむのには絶好の場所だと思われたので、ここを天場に決める。 すぐにビールを日陰において冷やし始める。
焚き火にあたりビールを飲んでいる隙に 黄色い月が岩山から頭を出していた。 どんちゃん騒いでいるうちに 月はあっという間に高度を上げ、やがて青白い光を放ち始める。岩もいよいよ 白く光り始める。夜中に用を足しに外に出たときは、まるで真昼のようだった。
朝Tは裏の岩山に景色を見に行く。頂上近くには鬱蒼とした 木々の間にChain Lakesの静かな湖面が見えていた。 陽があたり始めるとすぐに空気が温まって来たので、テント撤収も楽である。 水を使ったあとの荷物は軽く、昨日来た道を楽々と引き返せた。 トレイルヘッドに戻って気づいたのだが、今回は昨日Pine Valleyへ下りはじめてから 全く誰にも出会わない静かな山行であった。