Cherry Creek遡行
標高 4,700-7,800フィート
Emigrant Wilderness

2003年7月4-5日

夏も本番となり、谷の水は急速にその勢いを失いつつある。
水が枯れてしまう前に念願のCherry Creekの遡行に挑戦することにした。
初日に気力と体力の続くかぎり遡行し幕営、二日目はStyx Passの東北東で谷をぬけ
Kibbie Ridgeを経由して下る予定である。ダム横のチェックインゲート到着は10時過ぎ。
なんとRangerは数週間前に来た我々の事をよく覚えていた。
うれしいような、恥ずかしいような気分でゲートを通過し、10時40分にトレイルヘッドを出発する。


さすがに4度目ともなると最初の密林の通過も慣れたものであっという間に通過、前回の偵察で来た Cheey Creek西股との出合には1時間半ほどで着いた。ここからは未踏の地帯だ。しばらくは快適な スラブ状の岩場歩きだったがやがて密林抜けや、高巻きが始まり遡行のスピードが鈍り始める。
渓谷の両側にはいよいよ切り立った岩壁が聳え立っている。水で磨かれた岩場を 靴底のトラクションをきかし登っていく。幸いにも気温は快適、さわやかな風も吹いている、 ただ岩から反射する日差しがきつい。
3時間半ほどで、渓谷はV字状になってきた、ここからは本流をはずれ、 東側を大きく巻いていかなければならない。 実はここのすぐ下にある滝つぼ(38-04.260`N 119-52.863`W) のそばで休んでいると、突然犬を二匹連れた スポーツサンダル履き、ヘルメット、ライフベスト着用、上半身筋肉隆々の美女が出現した。 前日友達がカヤックで下ってきてここで肩をいためたので、代わりにカヤックをとりに Cherry Lakeからやって来たとのこと。彼女のいでたちとともに、カヤックをしょってKibby Ridgeを 延々12マイル登る連中のことを想像し、あきれ返る我々であった。
次の2時間の高巻きは、スラブ歩き、密林抜け、藪漕ぎ、スクランブリングの連続であった。 Aは藪と岩のミックスした下りでひっくり返り、Tをあわてさせる。膝を強打したものの行動に 支障はないようだ。 16時半、いよいよ難関部も終わりに近づいてきた、振り返るとこの辺りには小さなドームがボコボコと 飛び出しているのに気づいた。
やがて高巻きも終わりになり、谷の本筋(38-05.900`N 119-51.000`W) に戻ってきた。谷はここからU字状となり、水の流れは 広く穏やかである。もはや緊張するようなところはない。ここからは、次々と変わる景色を楽しみながら 水際ぎりぎりを歩いていくことができる。
6時少し前、もうこれ以上は歩けんというところで幕営地(38-06.748`N 119-50.135`W) を設定することにする。今回は軽量化に気を配り、フライシート、グランドシート等は持ってこなかった。 7時間強の完全装備行動の後は、疲れきり焚き火を楽しもうなどという気も起こらず、 9時前には寝入ってしまった。それでもTは夜中に目覚め、テントの入り口から身を乗り出し天体観測をする。 大接近中の火星は南東の空に赤く怪しげに輝いていた。三日月はすでに沈んでおり満天の星明かりだけで 渓谷はぼーっと光っていた。
次の日はがんばって4時起床6時出発。まだ陽の差し込まない谷を登っていく。 ここからKibbie Ridgeのトレイルまでは、あと2マイルほどを残すばかり。
いよいよ遡行も残すところ0.5マイル。 日もあたり気分が良くなってきたので、谷をバックに記念撮影。
8時前には谷を抜け出てトレイルに入る。Styx Passを上り返すとついに蚊の大集団に襲われた。 Kibbie Ridgeはだらっとした見通しのあまり良くない尾根である。しかし所々現れるメドウには Shooting Starが咲いていた。花は蚊の大群によって守られている。 これだけを慰めに延々と9マイルの尾根を下る。トレイルヘッドに戻ったのは 昼過ぎの12時半。ついに念願の遡行を終え、意気揚々と帰宅。